フラメンコギターの練習・上達法

ギターの練習はスポーツの練習と同じである。基本を守って、ひたすら反復・リピート・繰り返しである。粘り強いトレーニング無しに上手くなることは出来ない。レベルの差は練習量の差なのだ。毎日、寸暇を惜しんでギターを手にする熱意なくして上達はない。と言っても、正しいフォームでの練習に限る。フォームについては「フラメンコギター奏法の基礎」をよく読んでください。


スピードとパワー

フラメンコギターは指の早い動きが必要だ。スピードとパワーをつけるのに必要な練習は”ゆっくり確実に”弾き始め、少しづつスピードを上げる。指や手、腕、肩に力が入らないように注意しながら少しづつ強く弾くようにする方法が良い。又、リズムに乗りながら、テンポを速めることで右手が早くなることもある。注意しなければならないのは、実力以上に速く強く弾こうすると力が入り、フォームが崩れ、遠回りをすることになるか、投げ出してしまうかである。動きは必要最小限度であること。無駄な動きが加わると、それだけ遅くなる。スピードとパワーは、練習を繰り返すことで体得出来るが、早く上達したければ、「パコ・デ・ルシアの動画」をよく見てから「鏡に映った自分の手」を見てチェックしてください。

調弦(チューニング)

調弦は、ギターの基本で、これなくして全て無しと言うことを認識してください。クラシックギター、フラメンコギター、アコギ、エレキ共通の問題です。ギターの弦は、不安定ですぐに狂い始める。コンサートでギタリストが何度も調弦を行なうことはよく知られているいます。ギターの練習は調弦から始まるのです。

調弦の練習

調弦は大事だと分っていても、初心者の場合は調弦が上手く行かない人もいると思います。そこで調弦の練習方法と言うことになる。
(1)ハーモニクスより、実音で合わせる。初心者には実音のほうが分りやすいからである。
(2)5弦の5フレットを押さえて、”レ、レ”と二度音を出し、ついで4弦の開放弦を弾く 。”レレレ”と同じ高さの音になるまで調節すればよいのです。
(3)音が上がる、下がる感じをつかむ為には、隣のフレットの音と比べる方法がある。2フレットの音を出し、続いて3フレットの音を出せば”上がる”感じがつかめるでしょう。

チューナーという機械がありますが、早く卒業してください。調弦は耳を鍛える練習でもあるのです。

ギターは気合だ

ギターに限らず、何かに上達しようと思えば気合で立ち向かうことが基本です。何事も気後れしていては、上手くならないし、勝負に勝てない。難しいと思うから、難しいのだ。ギターは気合だ。準備体操でもして体温を上げ、体をリラックスさせて、「ギターを弾いてやる」のです。これがギター上達法の第一です。

ギタリストは右手を使え。

これは、フラメンコだけではなく、クラシック、ボサノバから演歌まで、右指で弦を弾くジャンルのギター全体に言える事。日常生活の中で右手はよく使われる筈だけれど様々な電化製品の普及、仕事でもパソコンをはじめ機械化が進み、人はあまり手を使わなくなった。手動から電動へと進歩したが、それは手や指の動きが鈍く、弱くなったということなのだ。ギターは右指で音を出す楽器だと言うことを忘れないで下さい。

薬指と小指

薬指と小指は、普段の生活では、使用頻度が低いため、力が弱く、動きが鈍い。中指に従って使うことが多いので、「動きの独立性」が低い。しかし、ギター演奏では、この二本の指は人差指や中指に近い動きを必要とされるから練習と普段の心がけが必要になる。例えば、コップを持つ時は、親指、薬指、小指の三本で持つ癖をつけるという具合だ。外出するときは、本やバッグを持ち薬指と小指を使って持つようにしましょう。ただ一番大事なことはギターを弾くことであることはいうまでもないことです。右の薬指を使う音階練習を欠かさない、音階練習やコードを弾くときに右の薬指と小指をどの程度使っているかチェックしてください。

マウスを使う時、親指と薬指・小指の三本で掴み、人差し指で左クリック、中指で右クリックして下さい。パソコンを使うことが多い人にとってマウスは右手練習機です。

楽譜依存症

ギターを弾く人は大抵、楽譜やTABを見ながら弾いていると思う。しかし、人間は色々なことを同時並行では出来ないのです。クラシックギターでは当たり前のことですが、これはギターの上達を遅らせる大きな原因になっていると思います。見ながらではなく、見てから弾く。音階やアルペジオも、初歩的な練習曲も弾く時は左手を見ているようにする。これはギターの上達法として非常に大事なことです。

楽譜依存症Ⅱ

見ながらではなく、見てから弾くというのは暗譜の練習でもある。楽譜を見ながら弾いていると、何時までたっても楽譜依存症を克服出来ず永遠に初心者でいることになるのです。

楽譜依存症Ⅲ

即興演奏、アドリブ。そんなカッコイイことは、自分には出来ない。もっと上手な人がやること。そんな誤解が上達を遅らせている。左指は”テキトー”に押さえ、右指は、フラメンコに良くあるパターンで弾いてみる。フラメンコの感じを手探りで探してみる。アンダルシアのフラメンコギタリストは楽譜やTABを知らないのに弾けるのだ。

鏡と録音

鏡と録音機はギター練習の必需品である。鏡は大きい方が良いが、最低限、右手全体を見えるサイズが必要である。優れたギタリストの動画、ビデオを見て、鏡に映った自分の手と比べてチェックを繰り返すのである。録音出来るものは色々あるが、高価なオーディオ装置は必要ない。録音できれば何でも良い。音楽用でなくても充分、自分の音を再生できれば良い。ギターを弾くときは、しっかり自分の音を聞くように心がけることが大切だが、録音して聞くと、弾きながら聞いているのとは、かなり違っていることがある。時々、自分の音をチェックして課題を見つけて、練習を続ける。これがギター上達法の第一。

体でリズムをとる

ギターを弾きながら、体でリズムをとる。パコ・デ・ルシアは左足で取っている。(動画、ビデオをよく見てください。)踵を支点にして、足先を上げて、下げる。これで一拍である。フラメンコはコンパス(リズム)が大切である。決められたコンパスを守らないとフラメンコではない。また、リズムをとることで右手の動きが違ってくる。尚、体の一部を動かしてリズムを取るのは、すべてのジャンルのギター共通のテクニックである。今まで、リズムを取っていなかった人は、この方法で一段上のギタリストになれる筈である。すべての音楽にはリズムがあります。アマチュアの下手な演奏には共通点があります。音を出すだけで精一杯でリズムを忘れているのです。音楽を聴くときは必ず体でリズムを取る事を習慣にしてください。

左手の注意点

フラメンコギターは右手の奏法が複雑で習得するにはかなりの練習を要するが、左手は比較的単純である。次の点に留意して練習すれば、あまり難しくはないはずである。
①スラーを多用するので小指・薬指を強化しながら、充分練習する。
②棹(ネック)を握ってはいけない。アコースティックギターやエレキとは違うのである。
③親指に力を入れてネックを押すのではなく、”添えている”という感じである。押弦はほとんど指の力で行なうが、手首も少し参加しているというのが、合理的な方法である。

ギターの持ち方

エレキやアコースティックギターの経験者はギターを低く持つ傾向がある。フラメンコギタリストはヘッドが肩の辺りの高さになるように持っている。(動画をよく見てください。)これは、フラメンコギター奏法の右手、左手が最も楽に弾けるからである。これはテクニックの一部であり、基本でもある。

パコ・デ・ルシアの右手

パコ・デ・ルシアの右手の動きは、美しい。"他のギタリストと同じことをしているのに"である。これはパコの右手の動きには全く無駄がないからだ、と思う。合理的な動きはダンスでもスポーツでも美しい。無駄がないというのは余計な力が入っていない、動きが必要最小限度であるということである。フォームが正しいことは言うまでも無い。上手くなりたい、上達したいと思うのなら、パコ・デ・ルシアの動画をじっくり見て徹底的に真似たらどうでしょうか。学ぶとは真似ぶことだという説もあるのだから。

アドバイスを受ける

フラメンコギターをよく知っている人に聞いてもらってアドバイスを受ける。謙虚に人の意見に耳を傾ける人は進歩する。と言っても正しい知識を持っている人が、何処にいるのか知らないので、あくまでも一般論です。フラメンコギターに関する限り、いい加減なことを言う人が多いことも事実なのです。

継続は力なり

ギターの練習はスポーツと同じです、練習を長期間継続するしか上達の道はないのです。一年や二年はすぐ経ちますから毎日可能な限り練習することが必要です。今日は出来ないテクニックが、来月は指が勝手に弾いているかもしれません。

右手練習器

ギターを使えない時の練習方法なら、いくらでもあるでしょう。ボールペンや手帳も工夫次第で立派な右手練習機です。