フラメンコギターという楽器

フラメンコギタリストが弾いているギターは、外見ではクラシックギターと見分けがつきにくいが、クラシックギターとは別の楽器で”フラメンコギター”と呼ばれている。違いは何かといえば、まず『音』が違うということになる。次にフラメンコを弾きやすく作られているということである。

フラメンコギターの材質と構造

フラメンコギターは非常に軽いギターである。板が薄い、ネックも薄い、胴の巾がやや狭いというのが特徴である。フラメンコらしい音と左手の素早い移動に適する構造である。又、残響音を少なくするために弦高が低い。クラシックギターとフラメンコギターを一本づつ比較したところ、約3ミリの差があった。
フラメンコギターに使われている板材はクラシックギターやアコースティックギター(フォークギター)と同じだが、裏と側面は「シープレス」と呼ばれる白くて軽い板材で出来ている。ただこの板材は、入手が難しく、高価なので、「かや」などの代用材を使用することもある。
パコ・デ・ルシア、マノロ・サンルーカル、ビクトル・モンヘ ”セラニート”など1940年代生まれのギタリストがコンサートホールでの演奏に適するよう「遠達性」の向上のため、シープレスの代わりにクラシックギターと同じ「ハカランダ」「パリサンドル」を使用したギターを使うようになった。色が黒くて重い板材である。従って、今日ではフラメンコギターは二種類あると言うことになる。しかし、ビセンテ・アミーゴなど新しい世代のギタリストは伝統的な白木のギターを使用している。これは音響機器の発達でギターに「遠達性」を求めなくてもよくなったからではないだろうか。尚、黒い方のギターをコンサート用とか両用ギターと言われるケースがあるが、どちらも間違いだと思う。パコ・デ・ルシアは”黒”のギターでエル・カマロンの伴奏をしている。また両用とはクラシック、フラメンコ両方に使えるという意味なら、多くのクラシックギタリストはNOと言うだろう。

フラメンコギターの弦

フラメンコギターの弦というのは、ありません。雑誌のインタビューでパコ・デ・ルシアは、低音がサバレス、高音ラベジャ(ラベラ)と答えている。 ビセンテ・アミーゴはダダリオ(プロアルテ)のノーマルテンションである。フラメンコ用ナイロン弦と称する物もあったが、特別な弦ではなかった。

これがフラメンコに適する弦だ、とは誰にも言えないはずです。人により、楽器により色々あるというのが正しいのではないか。もし、個人的な意見を求められたら、低音源はサバレス(ピンク色の台紙、古い方)、高音源はラベラの黒が私の好みだと言うことになる。

代用品としてのクラシックギター

クラシックギターでフラメンコを弾く人が多い。これはクラシックギターを始めてから、フラメンコを知った人が多く、既にクラシックギターを持っているので別にもうひとつ「フラメンコギター」を買わなくてもよい、それに経済的な事情もある、ということなのだろう。フラメンコはクラシックの延長線上にあると錯覚している人もいる。残念なことです。クラシックギターは残響音が多く、低音は非常にダイナミックな音である。表面板が厚いのでゴルペの音が響かない。ネック(棹)が厚くて、左手のコードの移動には不利、等々、フラメンコに向かない理由は色々ある。趣味や道楽にあまり固いことを言わなくても良いではないか、と言う人もいるだろう。しかし、本格的にフラメンコに取り組む人なら、代用品では我慢できないのではないか。

コンデ・エルマノス

コンデ・エルマノスは、マドリードに工房を構えて、多数のギターを製作したギタレーロである。エルマノスは兄弟という意味で、実際に3人兄弟であった。パコ・デ・ルシア、パコ・セペロなど多くのフラメンコギタリストに愛用されたギターだった。尚、現在販売されている「コンデ・エルマノス」は登録商標に過ぎず、コンデ兄弟が製作したということではない。古い製品とは別物と言って良いだろう。これは「ホセ・ラミレス」にも言えることです。

思いつくまま、作成継続中。