ピカード奏法の解説

ピカード奏法は人指指(I)と中指(M)で交互に弾く奏法(テクニック)である。ピカードという言葉の意味は突き刺すということである。ビシビシというキビしい音を出さなければならない。しかもパワーとスピードが必要です。正しいフォームでしっかり練習しないと習得は難しい。(粘り強く練習を続けるしかない)

パコ・デ・ルシアが「二筋の川」などのルンバをこのピカード奏法を多用して演奏し、注目されたのは70年代のこと、ルンバだけではなく様々な形式の曲で驚異的なスピードのスケール(音階)を弾いて、世界中のギターファンを驚かせ、世界的な人気を持つギタリストに成長していった。

パコ・デ・ルシアの後、フラメンコではないが、フラメンコギター奏法で演奏を行なうギプシーキングスのヒットもあって「ピカード奏法」への関心を持つギタリストが増えています。正しい弾き方で、しっかり練習すれば、パコがアル・ディメオラと共演した「地中海の舞踏」やジプシーキングスの「インスピレーション」を演奏することは可能です。

ピカード奏法・弾き方のポイント

高音弦(1、2弦)を弾く時は、親指を伸ばして6弦の上に置き、3,4,5弦を弾く時は、親指を6弦の少し上の表面板に付けます。6弦を弾くときは親指を下に向けて人差指、中指を当てます。親指を支点にすることで手が、安定し、パワーやスピードを出すことが出来るのです。スケールを弾く時、親指が上に移動して行き、人差し指と親指の角度が変わらないことをパコ・デ・ルシアの動画を見て確認して下さい。尚、1弦から5弦まで親指を6弦の上に置く方法もあるが、第二関節の角度が変るので、音質やスピードにマイナスではないかと考えます。勿論、個人差は少しあると思う。

弦に対して直角に弾く。動画を見て指が弦に対して直角になっている事を確認してください。但し、右手を真正面から撮影した動画に限ります。斜め前から撮影された動画(これが多い)では直角に見えないからです。

ピカード奏法の二本指を上から見ると弦と直角になっていることを確認してください

アポヤンド奏法1弦を弾くと”指先”を2弦に当てて止める。2~5弦も同じ。但し、6弦は当てる弦がないので親指に当てる。この時、表面板に付けた親指を下に向ける。次の弦に当てて止める方法を「アポヤンド奏法」と呼ぶ。従って指の動きは弦二本分ということになる。余計な動きが入ると速く弾けないからである。指弾きは「アルアイレ」と「アポヤンド」の二種類に分類されます。

④ブリッジに近いところを弾く。フラメンコらしい音を出す基本です。フラメンコギター奏法の基本のひとつです。

⑤弦が表面板と平行に動くように弾く。1弦から6弦まで全て同じです。表面板の方に押すのではない。これがフラメンコギター奏法なのです。スケールを弾くパコ・デ・ルシアの右手が上に上がっていくのは、1弦から6弦までI,Mの二指を同じ角度で弾くためです。フラメンコの音を出すために必要な事です。クラシックのアポヤンドとは違うのです。

⑥アポヤンドは、隣の弦に「指先」を当てる?、爪を当てるでもよいのかも知れない。

パコ・デ・ルシアをはじめフラメンコギタリストは、ピカード奏法では、曲げた第二関節を更に曲げる(ほんの少し曲げる)ことで、弦を弾いている。第二関節の角度は直角に近いことを動画をよく見て確認してください。指を伸ばしたり、伸ばし気味で弾いてはいないのです。

初心者は、各弦一本づつ練習した方が良いと思う、右指に意識を集中して、上記の弾き方を守って、ゆっくり確実に弾くこと。初めは開放弦を弾いてフォームを覚えたら、音階を弾く。次に好きなファルセータやメロディー(フラメンコ以外でも良い)を繰り返し弾けば良いだろう。とにかく繰り返すことだ。スラー(特に下降スラー)を加えるとフラメンコらしくなるはず。1弦から6弦に向かって、スケール(音階)を繰り返し弾いて、右手のフォームをしっかり固めてください。

弦に対して直角に弾く。

パコ・デ・ルシアの動画を見ると右手が弦と”直角”になっていることが、わかります。他のギタリスト(マノロ・サンルーカル、トマティート、カニサレス、モライート、パコ・セペロ。トニーノ等)も同じです。ピカードだけでなく、他の奏法もすべてそうです。ピックでギターを弾いてきた人は、そのままの手の角度で指弾きをやるようです。これではピカードのスピードとパワーは望めないのです。何事も基本が一番大事なのです。右手を鏡に写して確認してください。アンダルシアのフラメンコギタリストの指を良く見て下さい。人間の手の構造は皆同じだということを忘れないでください。

アポヤンド奏法

アポヤンド奏法というのは、親指、ピカードで弦に当てて止めると説明した奏法である。クラシックギターにもあるので、同じ奏法だと思っている人も多いはず、しかし、解説したようにフラメンコ独特のアポヤンドである。親指と他の指では、別の解説が必要なのです。

ピカードのスピードとパワー

フラメンコギタリストが驚異的なスピードとパワーでピカードを弾けるのは、以上のフォームで弾いているからでクラシックギターの奏法や我流で練習しても効果はないでしょう。正しいフォームを習得する事が上達への近道であることは「フラメンコギター」だけの問題ではないはずです。

ギターに我流はあり得ない、あるのは「ギター流」だけ、フラメンコギターには「フラメンコギター流」があります。人間の手・指の構造は皆同じです。パコ・デ・ルシアもあなたも手・指の構造に変わりはないのです。

ピカード奏法五原則

①指2本で交互に弾く(殆どI・M2本)
②ブリッジに近いところを弾く
③全ての弦が表面板と平行に動くように弾く。
④アポヤンドである。
⑤親指を6弦、又は表面板につける。

二筋の川とインスピレーション

パコ・デ・ルシアの二筋の川(Entre Dos Aguas)、ジプシーキングス(トニーノ・バリアルド)のインスピレーション(inspiration)は、8割以上をピカードと親指で弾いている。従って「ピック」でも大体弾ける。パコ・デ・ルシアがアル・ディメオラと共演した地中海の舞踏(MEDITERRANEAN SUNDANCE)も同じだ。但し、音は全く違う、フラメンコの音にはならない。

フラメンコギター思いつくまま・作成継続中